2015.3月 読書録 インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る、ほか

3月に読了した本の記録です。



 アドラー心理学のアルフレッド・アドラーの言葉を読みやすくピックアップしたものです。
 アドラーについては、10年近く前の学生時代に書物やセミナーで勉強したことがあります。
 ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』『それでも人生にイエスという』に衝撃を受け、それからアドラー心理学にたどり着きました。
 最近になって、『嫌われる勇気』がベストセラーになり、アドラーブームが一部で起こっているようですね。
アドラーの言葉には、人生や生きること、人間に対する希望があり、魅力があります。
 ある程度、他の書物でアドラーに触れたことのある人なら、目にしたり耳にしたことのある言葉が多くありますが、その反面、一語一語を大きく取り上げ、内容の解説もシンプルな構成になっています。
 読みなれない人にとっても、先に読み進めやすい本でしょう。
 アドラーの見方は、ある意味、世界をシンプルにしてくれます。
 その分、自分自身もそのシンプルさと向き合わなければならなくなるでしょう。
それは、なかなかに厳しい取り組みになると思います。
 厳しい取り組みですが、アドラーは自分の世界を変えてくれたものです。
 多くの人に、少しずつでもアドラーの世界が広がると良いなと思っています。


 先月の『お金の神様、資産を守る、投資で儲ける』から続いて、中原圭介氏の著作です。
 アメリカ経済は、元来、インフレを志向する政策があり、FRB等もインフレの方向で経済を調整しようとしている。
 しかし、アメリカ経済がインフレを志向するのは、ドルが基軸通貨であり借金をすればするほど得するためで、条件の違う日本がアベノミクスによるインフレを志向するのは、誤りという主張になっています。
 インフレにも『コストプッシュ型』と『需要増型』の2種ありますが、日本では輸入国家であることもあり、『コストプッシュ型』のインフレとなりやすい。
 『コストプッシュ型』のインフレは、国民所得の減少となるため、より格差が拡大し消費の低迷から景気悪化に繋がるのではないか?ということです。
 今、ニュースではベアの結果が前年と比べ大きくアップしたと報道されています。
中小企業へも拡大するよう政府からの働き掛けもあるようですが、ベアが行われているのは上場企業にとどまり、多くの中小企業や地方経済には波及しないのではないかと、個人的には思っています。
 また、一度は廃案となったホワイトカラーエグゼンプションの方針が復活し、年収1000万以上の職種に限り適用されるのが濃厚との報道もあります。
 財界では、残業代なしの条件を年収1000万どころか400~500万まで拡大しようと働きかけているようですし、派遣労働者をこれまで3年の経過時点で正規雇用とせず、長期にわたって派遣労働の形で継続できるようにしようともしています。
 賃金格差による収入の下降圧力が進む中で、コストプッシュインフレによる物価の上昇が進み、消費税をはじめとした各種の増税も着々と進んでおり、可処分所得はまだまだ下がっていくのではないかと思います。
 そのため、ベアの波及もない中小企業と大企業の差がどんどん広がりそうで、とても景気がよくなる気配は感じられませんね。

 デフレについていえば、ちょうどアメリカでのシェール革命が話題になっていた時の著作のようで、シェール革命による原油価格の下落等がデフレ圧力となり、アメリカを始めとした世界での原油安が進み、物価高に苦しんでいた層の所得がデフレによって向上する可能性が記されていました。
 アメリカ庶民は、所得が下がる中で大きく物価が上昇しており、可処分所得の圧縮が強い世界に生きているそうです。
デフレになることで可処分所得の圧縮が緩和され、消費が刺激されることでアメリカへの輸出増による経済への好影響がありうるとのことです。
 現状では、シェール革命をつぶすため?か、サウジアラビアが原油の減産をしなかったことから、原油価格が大きく下落しています。
 直接、シェール革命による原油安ではないですが、シェール革命による産油国のシェア低下を恐れたための非減産のようですので、当たらずとも遠からずといったところでしょうか。
 どちらにせよ、日本や世界の景気はアメリカの影響で変わるということで、米国ウォッチャーを続けなければなりませんね。
 個人でできることと言えば、少ないながらも資産を保つため、投資活動を続け柔軟に対応していけるよう経済の動きを注視するしかないように思います。
 投資の極意は『大きく負けないこと!』を金言に、地味にインデックス投資を中心とした投資活動を続けていきます。


 同じく中原圭介氏の著作です。
 ここ最近、新しく刊行されたものですが、内容的には上記のものと大きく変わった主張はありませんでした。
 他の投資ブロガーの方の記事でも指摘のあったことですが、小坊主としては『金融抑圧』という言葉に興味を持っています。
*こちらの本で、『金融抑圧』への言及はありません。

 日本では、日銀による大規模な金融緩和の影響で長期金利等が大きく抑え込まれています。
 短期金利では、マイナス金利になっている部分もあると聞きますが、金融緩和の出口も見えておらず。物価上昇率2%も見えてきません。
 日銀の国債購入にも限界が近いという話もありますが、今すぐに金利上昇の局面はこないのではないかと思います。
そうなると、日本では低金利の中で少しずつ物価上昇によるインフレが進むことになりそうですが、この状況は借金をする側には有利に働くそうです。
 借金しても金利が上がらないため、金利負担は小さい中でインフレが進み現金の価値は圧縮されます。
現金の価値の圧縮は、ある意味で借金の圧縮につながるとのことで、日本の政府債務もジワリジワリと圧縮されるのではないかということです。
 いわゆる『インフレ税』というもので、インフレによって国民所得が国家へ移り、政府債務が小さくなっていくと。
 政府としては、歳出削減や増税という抵抗の多い政策を提言して大きな反対と向き合うより、責任の所在をぼかしながら借金を減らすことのできる便利な方法になるようです。
 『インフレ税』によって、日本の財政破綻は遠のく可能性が高くなるようですが、一般庶民の生活はジワリジワリと圧迫されていくことになるのでしょうね。
 4月になってから、多くの商品・食品の物価が大きく上がりました。
 また、食品類で顕著ですが大きさや内容量が、どんどん減少しています。
 なんだかんだ言いながら、物価上昇の圧力を感じることが多くなってきました。
 人口も減少しつつあり成熟経済の日本で、景気が大きく改善する未来は感じないので、まだまだ生活の圧縮された中での生活が続きそうです。
 デフレの長かった世代としては、生活を圧縮することへの耐性はある方だと思うので、日常でできる工夫をコツコツしつつ、なんとか『r>g』に乗っかれるよう模索していきます。





 今年、新たな取り組みとして『畑』を借りて、菜園作りを始めました。
 まずは、知識からということで菜園作りに関する本を読んでいます。
 有機無農薬であることの病害虫対策などは、なかなかに奥が深いです。
 混合栽培による害虫対策や自然物を使った害虫駆除など、経験者の知識はとてもためになります。
 小坊主は面倒くさがりなので、どれだけ手間をかけずにそこそこの結果が得られないか?と、学習する日々です。



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