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展覧会レビュー、生誕120年 東郷青児展@損保ジャパン日本興亜美術館

展覧会:生誕120年 東郷青児展
鑑賞日:2017年9月
美術館:損保ジャパン日本興亜美術館

・ブロガー内覧会にて、鑑賞
・1915~50年までの作品を通して、東郷様式といわれる形が成立していく流れを展示
・初期の作品、キュビズム的な抽象性と分割(人物など)した表現と、暗めな雰囲気の色使い
・1930年代、女性を題材とした作品が増え、初期と比べてツルリとした質感の肌表現がでてくる
・1950年代、透明感のある女性画の様式がハッキリとした形となっており、東郷様式の形が統一されたと言える
・各年代を通じて、雑誌絵、モザイク絵、壁画、舞台芸術など、いろいろな画業をこなしていることが分かる。
 仕事の積み重ねが、技術的な深みともなり、独自の様式美へつながっていったと感じる

ブロガー内覧会の様子(特別な許可のもと撮影しています)
今回の一品(お気に入り) 『郷愁』
他の作品と違うアラブな雰囲気?があり、生々しさ・生命力を感じた

〇展覧会チラシ





展覧会レビュー、ボストン美術館の至宝展@東京都美術館

展覧会:ボストン美術館の至宝展
鑑賞日:2017年8月
美術館:東京都美術館

・エジプト、中国、日本、フランス、アメリカ、現代美術と広い分野の作品を一気に鑑賞できる
・オールドマスターの作品から現代美術まで、トータルに鑑賞できるのは、ボストン美術館の魅力と実感
・江戸~明治にかけて、日本から海外に渡って鑑賞できなくなっている作品をみられる良い機会になった
・アメリカ絵画は目にする機会も少ないので、新鮮さがある
・英一蝶の『涅槃図』が修復され、日本初公開・・修復作業の映像もあり、海外での修復は当然ながら現地の外国人が作業しており、修復技術が海外で守られていることに不思議さを感じる
・『涅槃図』は思っていたより大きな作品で、色鮮やかに修復されていた

〇今回の一品(お気に入り) ゴッホ『ルーラン夫妻』
*特に妻の方、背景・服の色も緑ながら、互いに殺しあわず存在感を保っていることに魅力を感じる

展覧会レビュー、ドヤ顔パンダに衝撃・・世界報道写真展2017@東京都写真美術館

展覧会:世界報道写真展2017展
鑑賞日:2017年7月
美術館:東京都写真美術館

・展示品は、『Word press photo』
・会場の入口すぐにトルコでのロシア大使暗殺時の大きな写真があり、生々しい雰囲気に目を惹かれる
・ヨーロッパでの難民問題、アメリカでの警官による黒人射殺など、世界で話題となった内容が多かった1年だと実感
・シリアでのISとの戦争も終わりが近いが、市民にとっては生活の全てを破壊された様子に心が痛む
・ロシアの陸の孤島ともいえる教会の島?、時間の流れの早い世界の中で、明らかに時間の流れの違う雰囲気が印象に残る
・目が離せなかったのは、カメラ目線でドヤ顔のパンダ・・パンダ飼育員の着ぐるみ?
着ぐるみでは、さすがのパンダも仲間じゃないと分かるだろう?と突っ込みを抑えられなかった

〇今回の一品(お気に入り) ドヤ顔パンダと飼育員




展覧会チラシ



展覧会レビュー、目玉はヌードのキリスト大理石像『レオナルド✖ミケランジェロ展』@三菱一号館美術館

展覧会:レオナルド✖ミケランジェロ展
鑑賞日:2017年7月
美術館:三菱一号館美術館


・ブロガー内覧会で、三菱一号館美術館を初訪問。美術館の周囲はなかなかにオシャレゾーン
・レオナルド(ダヴィンチ)は、いつも通り素描や手稿が多く、色付きの絵画はとても少ない
・レオナルドとミケランジェロをいろいろな素材で比較し、相互に意識しあっていた影響を表現しようとした展覧会

・比較品の1つ、『レダと白鳥』はどちらも追随者による模倣品。オリジナルは、どちらも焼失している。
 レオナルドの作品は、確かにレオナルド作品の雰囲気が感じられた。
 特に白鳥の目がスゴイというか、素晴らしいというか・・・エロいというよりイヤらしい感じが、何とも言えない
 ミケランジェロの作品は、正直、ミケランジェロの特徴がどこに見ていけば良いか分からなかった。
レダの足は、男性の足をモデルにしたとかしないとか・・・その辺りがミケランジェロ的なのかもしれない

・目玉の一つ、ミケランジェロの大理石像『十字架をもつキリスト』2000年にミケランジェロ作であることが判明したもの。
確かに大型の大理石像で、顔にキズがあるのも見て取れる。
*製作中に顔にキズが現れたため、途中で制作を放棄されたものらしい
フルヌードのキリスト像は珍しいらしい

○今回の一品(お気に入り) 『レダと白鳥』(レオナルド)


<参考> 『レダと白鳥』(ミケランジェロ)

○チラシ



展覧会レビュー、バベルの塔よりブリューゲルの怪物の方がインパクトあり『バベルの塔展』@東京都美術館

展覧会:バベルの塔展
鑑賞日:2017年6月
美術館:東京都美術館

・展示場に入るまで、20分の行列
・ボス~ブリューゲル、その他の模倣者の作品が多数
・ボスから始まる奇想、怪物絵の系譜がブリューゲルほかいろいろな画家に影響を与えたことが分かる怪物づくし?の展覧会

・怪物絵のなかに『バベルの塔@ブリューゲル』が、特別扱いで展示されている。
☆ピックアップした細部の描写の説明
☆拡大した模写
☆映像での解説資料

・バベルの塔は確かに大作だが、ボス~ブリューゲルの怪物画(版画)の方がインパクトがある
・題材が宗教画にもかかわらず、かなり独自な怪物表現がよく模倣者がでるほど受け入れられたと思う
他の人物画や風景画などの質が高く、評価が高かったことが基盤に夏ているのだと思うが、一歩間違うと、ちょっとオカシイ変態画家とみられそう
怪物画シリーズは、イタリアなど別の地方では受け入れられなかったのではないか?
ネーデルラントという地域、人々に独自の精神性があったように感じる

○今回の一品(お気に入り) 『聖アントニウスの誘惑』@ブリューゲル

○チラシ





展覧会レビュー、世界初公開『スラブ叙事詩』は圧巻の大作、行列は大変だったミュシャ展@国立新美術館

展 示:ミュシャ展
鑑賞日:2017年5月
場 所:国立新美術館

・展示場に入るまで、約1時間の行列
・展示スペースが思いのほか小さく、1つ1つの作品を見ていく余裕もない混雑だったため、早めに会場をでてしまった

・『スラブ叙事詩』は、大きさといいテーマといい評判通りの大作で圧倒された
・ミュシャというと、女性を描いたポスター画の作品が印象に残っているが、それらと比べると自分の描きたいモノを描いていったようにも感じる。
・ミュシャ独特の近代的な雰囲気と、古典的なテーマに民族の歴史を取り込もうと努力しているように感じられた。
・ミュシャへのポスター画家という印象を、ひっくり返してくれた良い展覧会だった。
・『スラブ叙事詩』は世界初公開というが、チェコがよくこれだけの作品を、日本に貸してくれたものだと思う。

○今回の一品(お気に入り)

○チラシ





深く広く、いろいろ衝撃!『世界盆栽大会2017』へいってみた

気になっていた『第8回 世界盆栽大会2017inさいたま』へ行ってみました。

 世界盆栽大会は、1989年、第1回をさいたま市で始まり、4年ごとに世界各地で開催されてきたものです。
 日本での開催は、28年ぶりというロングイベントです。

 小坊主は、個人的に小品盆栽で始めた「モミジ」を大きく育てようとしているのですが、さすが世界大会で展示される盆栽は迫力があります。
 会場入口に展示されていた作品は、銘「飛龍」という樹齢がたぶん千年というものらしく、時間の感覚がよく分からなくなる立派なものでした。
 盆栽というと『松』というイメージがあって、確かに『松』の作品はたくさんありました。
 ただ、『松』だとだんだん飽きてきてしまうところもあり、小坊主は中型や小品盆栽に魅力を感じました。
 小品盆栽は、大きさで存在感を出せない分、『曲げ』や『色合い』、『容姿』で品とオーラを表現しなければならないので、いろいろと個性ある作品が多くあります。
 なかなか奥深い盆栽の世界、小坊主の興味がどこまで続くか分かりませんが、もう少し楽しんでみたいと思っています。

<盆栽の世界を垣間みてください>















展覧会レビュー、まさに奇想というに相応しい独自世界のある雪村展@東京藝術大学美術館、展覧会

示:雪村 奇想の誕生
鑑賞日:2017年4月
場 所:東京藝術大学美術館


・ほぼ水墨画のみの展示で色はないが、初期の仏画から山水図・人物画に花鳥図と、どれも画風豊かでバラエティに富んでいて飽きがこない
・何点かの瀟湘八景図が展示されているが、描きこみの少ないサラッとした筆致であっさり目な印象のものが多い。中でも正木美術館所蔵の瀟湘八景図巻が、シンプルながら線の表現が力強くもあり印象に残る
・狩野派や明治からの近代日本画で雪村の見直しが進んでいたことを知らず、影響のつながりを理解できてタメになった
・人物の描き方は、山水図でかなり縮小して隅に配置したり、人物をメインに描くときはど真ん中で溢れんばかりの存在感を与えるメリハリがある
・解説でも雪村の画風には、のびやかさ・自由さがあると書かれていたが、型にはまらない心象を描いた作品が多く、独自の世界がある
・人物を描くときも、上へ上へと登っていく構図がいろいろな作品に一貫していて面白い

○今回の一品(お気に入り) 騎驢図
*瀟湘八景図巻がポスターカードもなく画像もないため、2番手で気に入った騎驢図を今回の一品とする

○チラシ




展覧会レビュー、仕事をえらばず動物も妖怪も仏も山水画もなんでも描く『これぞ暁斎!』展@渋谷ブンカムラ

展 示:これぞ暁斎!展
鑑賞日:2017年3月
場 所:渋谷ブンカムラ

・イスラエルーゴールドマンという個人コレクションによる展覧会。日本人より欧米人が画家の価値を発見して、蒐集していくよくあるパターン。
展示数も小作品から大きめのものまで184点と、なかなかのボリュームあり。
・けっこう混雑していて、外国人も多かった
・動物から鬼や幽霊、仏画に山水画、春画までとジャンルをとわずに何でも描いている。動きに奇抜さのある作品もあれば、仏画や山水画のように技術的に確かな作品もあり、とてもバラエティに富んだ画風。
動物たちや妖怪たちにもユーモアがあり、ゴールドマン氏が暁斎は楽しい!という理由も分かる。
・画鬼と自称して晩年まで画力を高める努力を続けた姿には、画狂老人と自称した北斎にも通じるものを感じた。

○今回の一品(お気に入り)
『鬼を蹴り上げる鍾馗』

○チラシ



展覧会レビュー、江戸も北京も絵巻で見る都市生活は、とても楽しそう『江戸と北京』展@江戸東京博物館

ブロガー内覧会に当選し、今回は江戸東京博物館で開催中の『江戸と北京 18世紀の都市と暮らし』展へ行きました。

展 示:江戸と北京展 
鑑賞日:2017年3月
場 所:江戸東京博物館


・江戸と北京、どちらも18世紀に反映した大都市。そんな都市での生活をそれぞれの年中行事や服装、仕事や遊びなどの比較を見ていける展覧会となっている
・見どころは、乾隆帝80歳の式典に賑わう北京の風景を描く『乾隆八旬万寿慶典図巻』と神田今川橋から日本橋までを描く『熈代勝覧(きだいしょうらん)』
 どちらも12m近くもある長い絵巻物で、どちらも保存状態がとてもよく色鮮やかに当時の都市生活を垣間見ることができる
 『乾隆八旬万寿慶典図巻』は、皇帝の祝いの日のためか同じ服装が多く、建物に個性がでている。絵巻のなかには像などもでていて、国際色が豊か
 『熈代勝覧(きだいしょうらん)』は、江戸一番の商業ストリートを描いていて、人々の服装や動きに個性があるが、建物は長屋的な統一感がある
 どの都市も活気があり、あかるい活力が感じられる良い絵巻物で、何度も往復して鑑賞した。
・他の家や正月の祝い方、趣味の世界や子供の世界もバラエティに富んでいて、やっていることは変わらないのに表現や楽しみ方に、相互の文化の違いが見て取れて興味深い。
・映像コーナーの都市を描いたCGでの解説も、なかなか見どころが多い

○今回の一品(お気に入り)
『乾隆八旬万寿慶典図巻』


『熈代勝覧(きだいしょうらん)』

*写真は、美術館より特別に撮影の許可を得たものです

○チラシ