展覧会レビュー、コレクション大放出?現代アートにも歴史があると再確認「リニューアル・オープン記念展 百年の編み手たち」東京都現代美術館


概要

展 示:企画展 百年の編み手たち&コレクション展1期 ただいま/はじめまして
鑑賞日:2019年5月
場 所:東京都現代美術館

評価

混み具合  辛い/1・2・3・4・⑤/快適
作品の数 少ない/1・2・3・4・⑤/多い
面 白 さ   退屈/1・2・3・④・5/面白い

構成

1章 はじまりとしての1914年
2章 震災の前と後
3章 リアルのゆくえ
4章 戦中と戦後
5章 アンフォルメルとの距離
6章 光を捉える
7章 イメージを編む
8章 言葉と物による再編
9章 地球資源の視覚化
10章 複合空間のあらわれ
11章 日本と普遍
12章 抵抗のためのいくつかの方法
13章 仮置きの絵画
14章 流動する現在

感想

東京都現代美術館がリニューアル工事を終えて初の企画展(リニューアル・オープン記念展)ということで、2部構成の展覧会。
東京都現代美術館のコレクション作品をメインに、1910年代から現代までの現代アートの流れを概観することができます。
大正時代から西洋画の技法・理論の取り込みが進んでいきますが、西洋絵画の影響を受けつつ独自性が発展していく様子が見られ興味深い。
現代に時間が進むにつれてテーマも、デザイン性~抽象~地球環境~技術etcと多様化し、表現にも枠がなくなっていきます。
都市化が進み、生活環境・価値観もかわり、ネットの普及も進む・・それぞれの時代で浮かぶキーワードをどうアートに転化していくか、作家は個人的な見方からテーマに取り組んでいるのかもしれませんが、環境の影響も無視できないのだろうなと感じます。
現象の切り取り方が多様化し、表現の蓄積も進んだことで、アートとしての表現を形にしていくのは難しい時代になったのか?
それとも、枠が消えていったことで更に自由が広がったのか?
アートは社会環境などから離れた世界の出来事のようにも感じますが、案外、地味なところで環境から影響を受けて「カタチ」を作っているのだなということが、作品の変化の流れを見ていくと分かります。
一時期、難解なことが作品の評価ポイントとなっていたこともあるようですが、「今」は「共感の時代」らしい。
「共感」が得られないと評価の対象にならない・・
「共感」を生むには、共通するパーツ(感情、作品の背景、個人的な体験など)を通してつながる必要があるが、共通する歌も本も映像もバラバラになったいま、どうやって「共感」を形にしていくのか・・作家は大変。
最近は、ジャンルを問わず売れる作品や作家がネットにでてくるが、いろいろ語られている理由とか、みんな後付けっぽく感じてしまう。
以前は現代アートはよく分からない!という感覚があったが、どーでも良くなってきたというか、分かる気もないというか、反対にテーマ性とかゴチャゴチャ盛られていると鬱陶しく(作家の個人的な思い入れとかどうでもイイとか)感じてしまうこともある。
「私性」というのが面倒に感じるのは、小坊主がジジィになってしまったせいなのだろうか

今回の一品(お気に入り)



「なにもない風景を眺める」文谷有佳里
濃い目の作品にもたくさん触れたせいか、シンプルな「線」に魅力を感じた

チラシ