概要
展 示:奇想の系譜展鑑賞日:2019年3月
場 所:東京都美術館
評価
混み具合 辛い/1・2・3・④・5/快適作品の数 少ない/1・2・3・④・5/多い
面 白 さ 退屈/1・2・3・4・⑤/面白い
構成
幻想の博物史 伊藤若冲醒めたグロテスク 曽我蕭白
京のエンターテイナー 長沢芦雪
執念のドラマ 岩佐又兵衛
狩野派きっての知性派 狩野山雪
奇想の起爆剤 白隠慧鶴
江戸琳派の鬼才 鈴木其一
幕末浮世絵七変化 歌川国芳
感想
・美術史家の辻惟雄の著した『奇想の系譜』をもとに、江戸絵画史で傍流とされてきた画家をメインに据えた展覧会・評判が良かったので先月の『新・北斎展』のような混雑を予想していたが、行列もなく作品を見るのに支障なかった。北斎ほどのメジャー感はないが、名品の多い展覧会でもっと多くの人に見てもらって良いと思う。
どの作品も名品で、まったく重ならず混ざらない画風の違いを見比べながら、まとめて鑑賞できる贅沢な展覧会
・長沢芦雪、狩野山雪といった目にする機会の少ない画家の作品を鑑賞できたのは、とても良かった。特に狩野山雪は初めての画家でとても新鮮。
ただ、狩野山雪は狩野派という一大流派の画家にもかかわらず”奇想”の系列に位置される理由が分からなかった。京狩野ということで奇想に入るのか?、傍流というよりメジャー系ではないのか?という疑問もあり。
『奇想の系譜』そのものを読んでみれば、理由が分かるのかもしれない
・白隠は画家ではなく宗教者のため、他の絵師とは世界観が別物。表現したいものが仏教の世界であり、技術の問題ではなく表現し伝えたいものの内容が明確。型にとらわれない自由さは禅僧の本領とも言えるのか、奇想の源流と言われればある意味で納得
・明らかに”奇想”と感じるのは、曽我蕭白と白隠慧鶴。蕭白の『群仙図』はなんど見ても、変。変だが画力が高く、場面が崩壊していないのが凄い。どの人物も存在が際立っているのに、だれか一人だけ突出しているということもなく、全体的にバランスよく変。
初見のインパクトを超えて、確かな技術を感じられる
今回の一品(お気に入り)
朴に尾長鳥図
一瞬、西洋画のようにも感じさせる独特な雰囲気が魅力
柔らかさと瑞々しさがあり、日本画の硬質な感じがしない