展覧会レビュー モネ 連作の情景@上野の森美術館(2024.1.28)

<概要>
展  示:モネ 連作の情景
鑑賞日:2024年1月
場  所:上野の森美術館

<評価>
混み具合  辛い/①・2・3・4・5/快適
作品の数 少ない/①・2・3・4・5/多い
面 白 さ   退屈/1・②・3・4・5/面白い

<構成>
1 印象派以前のモネ
2 印象派の画家、モネ
3 テーマへの集中
4 連作の画家、モネ
5 「睡蓮」とジヴェルニーの庭

<レビュー>
 モネ展の最終日にあたり大混雑していました。ちょっと甘く見ていました・・
 メンバーの方もチケット予約が取れなかったり、当日券も行列で諦めたりと参加が難しいイベントになってしまいました。
75点もモネの作品だけが展示されていて頑張って集めてきたなと思うとともに、これだけ集めてくるのに費用がかかるのでチケット代も3000円となかなかのお値段。
 2023年12月にSOMPO美術館で鑑賞した「ゴッホと静物画」と比べると、モチーフの選択・構図・色使い、どれもバランス良くまとまっています。モチーフへの光の当て方や色使いが上手い、ゴッホは平坦で光の当て方に工夫を感じなかった・・
 総合力を見るとさすがモネといったところです
 モネの連作シリーズをみていく展覧会でしたが、積み藁・ウォータールー橋・ジヴェルニーの庭・睡蓮と同じテーマで時間帯・構図を変えて描いている様子を見比べると、表現方法を変えていろいろな絵画の実験をしているようです。
 やはり単品で鑑賞するより、それぞれの作品の描きわけを一度に見比べられるとモネのその時の関心や描きたいポイントを感じられるので、なかなか面白い展覧会でした。

<今回の一品(お気に入り)>
「積みわら、雪の効果」1891年


展覧会レビュー ゴッホと静物画展@SOMPO美術館

<概要>
展  示:ゴッホと静物画
鑑賞日:2023年12月17日
場  所:SOMPO美術館
参加者:9名
<評価>
混み具合  辛い/1・2・3・④・5/快適
作品の数 少ない/1・2・③・4・5/多い
面 白 さ   退屈/1・2・3・④・5/面白い

ゴッホの静物画25展を展示、目玉は「アイリス」と「ひまわり」

<構成>
1 伝統 17世紀から19世紀
2 花の静物画
3 革新 19世紀から20世紀

<レビュー>
ゴッホのアイリスとひまわりがメインで、他は同時代の画家の作品ばかりの構成?と思っていたら、ゴッホの作品が25点(ひまわり含む)と多めの展示があり、嬉しい誤算。
ゴッホの静物画をあまり目にしたことがないのですが、静物画は絵の修行だとゴッホは思っていたそうで、かなり基本に沿った描き方と、色の研究という形で試行錯誤している雰囲気が感じられます。
ゴッホが描いた「ヴィーナスのトルソー」(油彩)があり、独学で基本的な絵のデッサンの研究もしていたのだなと新鮮な発見がありました。
ゴッホの静物画は、同時代の画家の作品と比べると下手ではないのですが上手くもない・・
マネの「白いシャクヤクとその他の花のある静物」とゴッホの「カーネーションをいけた花瓶」が並んで展示ありましたが、こう並べられるとゴッホの拙さが比較されてしまう感じで、ゴッホの絵は売れないかなと感じたしだい。
「アイリス」と「ひまわり」も並べて展示ありましたが、どちらもあまり感動せず。かつては「ひまわり」の生々しさに感動した記憶がありますが、慣れてしまったのか感性が鈍ってきたのか、感じるものが乏しくなってしまいました。

<今回の一品(お気に入り)>
皿と玉ねぎのある静物
入院から退院した時に描いたタイミングだったためか色使いが鮮やかで、皿や本の配置にも落ち着きを感じます


展覧会レビュー 永遠の都ローマ展@東京都美術館

<概要>
展 示:永遠の都ローマ展
鑑賞日:2023年11月26日
場 所:東京都美術館
<評価>
混み具合  辛い/1・2・3・④・5/快適
作品の数 少ない/1・2・③・4・5/多い
面 白 さ   退屈/1・2・③・4・5/面白い

ローマ教皇のコレクションを中心に建てられたカピトリーノ美術館のコレクション展示
カピトリーノのヴィーナスが目玉

<構成>
1 ローマ建国神話の創造
2 古代ローマ帝国の栄光
3 美術館の誕生からミケランジェロによる広場構想
4 絵画館コレクション
5 芸術の都ローマへの憧れ

<レビュー>
ワタクシ、ローマ人の物語@塩野七生を少し齧った程度のローマ好き。
*ローマ人の物語は、ローマの歴史の長さと1冊の分厚さに打ちのめされ、5代目皇帝あたりで挫折しております。

ローマには行ったことがあるのですが、カピトリーの美術館、岩倉具視といった日本使節も訪問する由緒ある美術館のようですが、美術館の存在を知りませんでした。
建国神話に由来する双子が狼から授乳する「カピトリーノの牝狼」やアウグストゥス像など、ローマの始まりを見ると「歴史」の深さに感慨深くなります。
絵画は名を知らぬ画家がほとんどでしたが、優品が多かったように思います。
教皇コレクションが核なので、キリスト絵画か多いのは当然でしょうか。
展示構成としては、ローマ建国から帝政への移行、ローマの栄光と流れが良かったものの、後半は対象が歴史なのか美術なのか曖昧で、テーマを絞りきれなかった印象になりました。
正直、地味な展覧会だったためか、参加者の方は無料で入れる「上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす」のキノコの絵が良かったというお話あり

<今回の一品(お気に入り)>
カピトリーノのヴィーナス
特別展示の区画があり、東京で見るよりイタリアの美術館で周囲の環境と合わせて鑑賞すると、最も引き立つ彫刻なのだろうなと思うしだい


展覧会レビュー 棟方志功展@東京国立近代美術館

2023年10月29日

<概要>
展 示:棟方志功展鑑賞日:2023年10月29日
場 所:東京国立近代美術館
参加者:8人
<評価>
混み具合  辛い/1・2・3・4・⑤/快適
作品の数 少ない/1・2・3・④・5/多い
面 白 さ   退屈/1・2・③・4・5/面白い

「世界のムナカタ」として名を知られる棟方志功の生誕120年を記念しての展覧会

<構成>
プロローグ 出発地・青森
第一章 東京の青森人
第二章 くらし・信仰・風土 富山・福光
第三章 東京/青森の国際人
第四章 生き続けるムナカタ・イメージ 

<感想>
ワタクシ、富山出身のため棟方志功には名前や作品に触れる機会もあったのですが、令和になってどれだけの人が棟方志功を知っているのだろうか?と思っていましたが・・やはり展覧会への来館者は少ない様子

仏画の版画家というイメージありますが、今回、初期の絵から、中期の仏画、後年のビエンナーレ出展作品まで眺めてみて、抽象性は共通しつつも仕事の幅は小説の挿絵から包装紙のデザインまで、なんでもやっていた人だったんですね
仏画のイメージが強すぎて、他の仕事の存在にまで目が回らないというのが残念なところです
民藝の世界とつながる骨太なデザイン、土臭さ、令和の時代にはなかなか目にすることのなくなった線の太さ。
千葉市美術館の新版画展で見た川瀬巴水の世界とは真逆な世界です
デジタル化され土臭さが消えていく世界で、ムナカタ・デザインが見直される日が来るのだろうかと思いつつ鑑賞しました
解説にムナカタ・デザインは、地方性と相性が良いと書かれていましたが、まさに土臭さがローカライズされたパワーにつながると感じた次第。アナログではなく泥っぽさが作品としての生々しさを強く感じさせられます
でも、この土臭さは消えていってしまうのだろうなと感じ入る展覧会でした。

<今回の一品(お気に入り)>
二菩薩釈迦十大弟子
黒と白のシンプルな線の強さ、人物の骨格、表情などよく練られた構成力を感じます


展覧会レビュー デイヴィッド・ホックニー展@東京都現代美術館

2023年9月24日

現代アートの分類に入る画家ですが、 肖像画や風景など美術館賞で馴染みのあるテーマ

の作品が多く、鑑賞していて戸惑いのない展覧会でした
現代アートというと、 難解な表現物で造りも意味も理解しようのない作品? というイ
メージありますが、ホイックニーは風景画も多く、 日本人好みな作品が多かったように
思います。
肖像画では 「クラーク夫妻とパーシー」 が、 大画面で人物の表情や世界の明るさに魅力
ありました。
1F展示の終わりの方に、 「ノルマンディーの12ヶ月」 という絵巻物みたいな長大な作
品がありましたが、 iPadで描いた絵をつなげた作品のようです。
今もiPadで絵を描き続けているそうですが、 発想が柔軟でチャレンジ精神あふれている
感じがします。
色彩も豊かで自分に見えている世界を表現しようというエネルギー、ホイックニーは80
歳を超えているそうですが、 精神の瑞々しさは衰えることがないのだなと実感させてく
れました。
山下清展に続いて、今年、強く印象に残った展覧会になりました。

「クラーク夫妻とパーシー」