展覧会レビュー、都内からは遠い!遠いけど行く価値はある写実画『あの時君は若かった展』@ホキ美術館

概要

展 示:あの時君は若かった展
鑑賞日:2018年9月
場 所:ホキ美術館

評価

混み具合  辛い/1・2・3・4・⑤/快適
作品の数 少ない/1・2・3・④・5/多い
面 白 さ   退屈/1・2・3・⓸・5/面白い


感想

画家いわく目に映るモノは、何でも描くことができる。目に映らないモノをどうやって表現するか?が、画家としての課題という説明あり。
作品は遠目から見ると、写真のように見えるほど精巧に描かれている。しかし、写真と同じでは絵として描く意味がない、絵でしか表現できないもの、絵として表現したいものは何か?
写実画を鑑賞美術から芸術へ転化していった画家「野田弘志」氏は美術は哲学であり、存在の本質を表現する取り組みという話が紹介されていた。
技術を超えた先に、何を表現したいのかを読み解く作業が必要。

<まるで写真のようにみえる作品たち>




初めて作品を見ると表現の技術的な凄さに圧倒され、作品の表現したいモノを考えることもできない。
画家はただ現実を写し取るのではなく、一部を想像で補填しながら描いているという。
画家の技術的な探求に付き合っているのか、写真と絵画の境界への挑戦に向き合っているのか、現実と想像が一体となった全体としての作品から沸き立つ空気を感じ取るのか・・回数を重ねて鑑賞することで、ただ感心するだけではない「見方」の探索が始まる。

今回の一品(お気に入り)


存在の在処 石黒賢一郎(2011、綿布、油彩)
男性(先生?)の立ち姿、目線が印象に残る。
女性を描いた作品が多い中で、顔に刻まれるシワ、眼差し、にじむ存在感・・背景となる黒板や壁にデフォルメ感があることで、さらに人物の存在感が際立っていることが印象的。
写真とも違う、絵画ならではの表現に感じられた。

チラシ