京都展 洛中洛外図屏風@東京国立博物館(Art倶楽部)

 Art倶楽部定例鑑賞会で、東京国立博物館へ「京都展 洛中洛外図屏風」へ行ってきました。

 洛中洛外図屏風というと、狩野永徳の「洛中洛外図屏風 上杉本」が有名ですが、今回の展覧会では「洛中洛外図屏風 舟木本」にスポットをあてて、総勢7点の洛中洛外図屏風が展示されるものです。
 洛中洛外図屏風をそれぞれ比較して、鑑賞することができる魅力的な展覧会でした。
 ただ、今回のメインとされている「洛中洛外図屏風 舟木本」については全く知らないので、少しでもどんなものか知っておけないかと思っていたところ、国立博物館内にあるミュージアムシアターで生解説されていることが分かりました。
 ミュージアムシアター自体を利用したことがなかったので、良い機会なので生解説を聞きに行ってみました。
 最近、ちょくちょく話に聞く4Kシアターを大画面で見られるってことで、楽しみにして行きました。
 初のミュージアムシアターの感想ですが、解説員の方が結構な良い声で、ランチ後だったこともあって、睡魔との戦いになってしまいました・・・
 ただ、4Kシアターに映される洛中洛外図屏風は、本物の展示品と違って、色合いなども鮮やかに作られたものでした。
 細かい部分をズームアップのうえ、解説してもらえたので、展示品の概要を理解するのにとても役立ちました。見ておいて良かったです。
 ミュージアムシアターでは、生解説以外にも江戸城内の再現映像の解説などもやっているようなので、また、機会あればいろいろ見に行きたいと思います。
 4Kシアターといえば、「京都展」の展示でも「京都 龍安寺 石庭」の四季の移り変わりを高精細画像で鑑賞できるエリアがあり、4K画像の凄さを見せつけられました。
 ただ、大画面で見るには迫力も十分で、素晴らしいのですが、自宅に欲しいと思うようなモノではないですね。
 実際の「洛中洛外図屏風 舟木本」ですが、人が多すぎて間近で鑑賞できず、ミュージアムシアターで解説してもらったポイントを軽く確認する程度になってしまいました。
 他の洛中洛外図屏風では、狩野永徳の「上杉本」が国宝ということで、素晴らしかったです。
 「舟木本」も細やかな生活情景が描かれてて、登場人物のバラエティが豊かだったのですが、他の洛中洛外図屏風は、京都の観光どころをピックアップした構成になっているモノも多く、画家が何のために何を描こうとしていたのかが、比較できて興味深かったです。
 国立博物館の東洋館がリニューアルされて、今回、初めて中に入りました。
 アジア地域のそれぞれの年代でどんな地域や様式の影響があったか、作品を比べながら見ていくことが出来て、いろいろ想像を膨らませることが出来ます。
 上の古代の土偶?は、自分の陶芸でも作れそうに思えてしまうんですが、それが年代が進むと一気に完成度が高くなっていきます。

 アジア地域にスポットを当てた展示が多いので、当然ながら展示品は中国・朝鮮などのモノが多くあります。
 上の二つは、年代は忘れましたが古代中国のモノで、色合いのセンスが凄い。特に1枚目の黄色の鮮やかさには、とても驚きました。
 また、2枚目の壺にはコウモリが描かれているのですが、コウモリは中国では縁起物とは知りませんでした。
 蝙蝠の「蝠」の字が「福」に通じるということで、幸福の縁起物になるとか。
 初めて見たときは、コウモリが飛びまくりでグロテスクな印象を受けたのですが、地域が変わると幸福のイメージもいろいろだと再確認させてくれました。個人的には、コウモリを幸福の印として家に飾ったり思いつきもしないので、アジアも奥が深いです。

 アジア地域の美術といえば、ガンダーラ美術も有名ですが、東洋館でもガンダーラ美術のコーナーがあり、仏像などをじっくり鑑賞できます。
 しかし、この仏像の第一印象ですが「イケメン」の一言ですよ。
 日本の平たい顔の仏像に慣れていると、ガンダーラの仏像は彫が深くて、これが仏像?と目を疑います(笑
 地域的にギリシャ彫刻の影響を受けているため、写実性の高い仏像になるのですが、二枚目の仏像の顔など造形の美しさが際立っています。
 1枚目の仏像のちょび髭も気になるところですが、こういったガンダーラ美術が中国に入ってから、変化し日本でまた新たな造りになっていくのは、地域や歴史の流れを考える良い材料になるのでしょうね。
 時間の余裕もなかったので、全ての展示を見られなかったので、常設展だけを見て回る機会も作りたいです。
 平成館・東洋館を見て回るのに、1日かかりそうなので、ランチも合わせて楽しみながら、美術三昧の一日を過ごしてみたいものです。