<スーラ>ポール=アン=ベッサンの外港
国立新美術館の「オルセー美術館展」に行ってきました。
http://orsay.exhn.jp/
ポスト印象派ってことで、20世紀初めのセザンヌからゴッホ、ゴーギャンにスーラとメジャーな画家の作品をズラッと並べたって感じです。
その中で自分がいくつか気に入ったのがありまして、まずはスーラの点描絵です。
自分は点描絵って、結構好きなんです。
人によっては、イラストみたいで動きも感じられないし、インパクトに欠けるかもしれません。
でも、あの点描独特の柔らかさが爽やかで、好きなんです。
この外港の絵あたりは、夏を先取り~みたいなカラッとした爽やかさに満ちていると思いませんか?
早い話がドット絵なんでしょうが、緻密さといい色の鮮やかさといい、玄関に飾るにはバッチリデスw
<ゴッホ>星降る夜 <ロートレック>黒いボアの女
次は自分が一番気に入ったゴッホの星降る夜です。
星の明かりと、水面に広がる街のランプの明かり・・・種類の違う2つの明かりが重いベッタリした青と黒の油彩の中で、個性をハッキリさせて描かれてます。
画面の真ん中で、世界が区分けされて上下に光が広がっていくのも、それぞれのエリアが違う世界なんだというのを明確にしてくれます。
色的にはスーラの鮮やかさとは比べるべくもないのに、これまた見る人に安心感を与える爽やかさのある絵じゃないでしょうか。
あまり美術館で買い物しないのに、つい色紙を買ってしまいましたw
で、隣がロートレックの黒いボアの女
筆使いのダイナミックさや下地を服の生地に取り込む巧みさ、シンプルに描かれるからこそ際立つデッサン力。絵の女性の存在感が、強すぎで引き込まれます。
特に目力ですよ、目力w
こちらを正面から見据える目の力・・・ついサーセン、ネーさん!って謝罪しそうになったw
恐るべし、目力!
<モロ->オルフェウス <ボナール>ベッドでまどろむ女
で、そんなネーさんに圧倒された後に目に入ってきたのがこちらのネーさんたちです。
お前は美術館で、ネーちゃんしか見てないのか!とか言われそうだけど、ほかの風景画とかにはあまり興味を惹かれなかったんだから、仕方ない。
同じ女性を描きながら、まったく違うこの雰囲気。
面白いですね~。
個人的にはこちらのオルフェウス・・・今回、一番の美人であったかと
ギリシャ神話を基にしてるからか、とても古典的
実物は服の描かれ方も、緻密で装飾物が品を感じさせます。
生首を若いネーさんが抱えてるという、シュールな場面なんだろうけど、女性の表情や立ち姿、全体の色使いが幻想的で一種の甘さを感じさせてくれます。
それに比べて、ボナールのベッドでまどろむ女はまた別物で、甘さを通り越してタダレテイマスw
事後か?事後なのかー!羨ましいーとか、そんな妄想を掻き立てられるエロイ絵です。
エロさでは、これが今回の一番。そういう意味では、こちらも今回、一番の美人でしょうw
ここまで描いたら胸とか手で隠す必要ないんじゃないの?などとも思うけど、あの手がないとそれはそれで品がなくなってしまう気がする。
かつてはヴィーナスとか、女神を題材にしないと裸婦画を描けなかった時代から比べるととても率直にエロイ絵を描ける時代になったんだな~と時代の流れも感じます。
この色調が良いんじゃないでしょうか。
明るすぎず暗すぎず、すでに昼に差し掛かったあたりでダラダラしてるかのごとき、まさしく気だるい感じに満ちてます。
というわけで、とてもバラエティに富んだ展覧会でした。
当時の画風の多様さや画家の視点の違い、時代背景を比べながら見ていくには、プラスになることが多いと思います。
これが目玉!という作品があるわけじゃないけど、個性と多様さに満ちた印象派後の世界をメジャー所の作品を比較しつつ、フラットな視点から時代の全体像を見ていくのが楽しいと思います。