<概要>
展 示:ハプスブルク展
鑑賞日:2019年12月
<評価>
混み具合 辛い/1・②・3・4・5/快適
作品の数 少ない/1・2・3・④・5/多い
面 白 さ 退屈/1・2・3・④・5/面白い
<構成>
1 ハプスブルク家のコレクションの始まり
2 ルドルフ2世とプラハの宮廷
3 コレクションの黄金時代:17世紀における偉大な収集
4 18世紀におけるハプスブルク家と帝室ギャラリー
5 フランツ・ヨーゼフ1世の長き治世とオーストリア=ハンガリー二重帝国の終焉
<感想>
・工芸品(甲冑や杯、シャーベット入れなど)の展示もあり、小型のもの1つとっても造りの質が高い
・肖像画が多いが、ハプスブルク家の人物をなぞっていくと中世ヨーロッパの歴史と重なりルネッサンスから前近代までの芸術に与えた影響の大きさを再確認できる
パトロンでもあり蒐集家でもあったハプスブルク家、宗教画から風俗画、肖像画まで技術とテーマの変化がつながっていて絵画史をなぞる展覧会
・ほぼ同じ構成で描かれる2枚の「マルガリータ・テレサ」は、見比べると本当に画家による違いがそこかしこに見られ面白い。
ベラスケス、「青いドレスの王女マルガリータ・テレサ」
デル・マーソ、「緑のドレスの王女マルガリータ・テレサ」
何か意図があってそれぞれの画家に同じ構成の絵を描かせたのだろうが、ベラスケスの技術の高さが際立つ結果になる
・「フランス王妃マリー・アントワネットの肖像」は、大判で描かれる人物の存在感も高く、とても見ごたえのある作品
アレだけ大きいと、豪奢ということばがピッタリくる・・肖像画も後年になるほど色合いが鮮やかになり、絵具の発達や描き方が洗練されていくこともあり魅力度が高い
豪奢なドレスを着て描かれる「マリー・アントワネット」が最後に断頭台に送られたことを考えると、歴史が動くときのダイナミックさに感慨深さを感じる
教科書では、一言、フランス革命により処刑されたと記されているが、改めて時代背景とヒトの人生をみていくと違った見方ができるのは楽しい
<今回の一品(お気に入り)>
「神聖ローマ皇帝レオポルド1世と皇妃マルガリータ・テレサの宮中晩餐会」(ヤン・トマス)
・作品としては際立った魅力があるとは言えない
・ベラスケスに描かれていた「マルガリータ」が皇妃となり、宮中晩餐会を催している情景をみるとあの女の子が政治の世界にどっぷりつかった様子で「生(なま)さ」を感じる
・コンクリートとガラスの建築に見慣れた感覚からすると、石の建築と窓のない空間、ロウソクの明かりだけが光源の空間(ぼやけた明かり)の描かれ方に、やはり「生(なま)さ」を感じる
個人的にはロウソクの明かりというのが、何故かポイントになった
・宮中晩餐会は娯楽ではなく、貴族の出世をかけたゲーム!
「社交」というゲームの中でヒトが評価される点に、いつの時代も政治的で生々しい人間臭さを今の世と比べてみる(ゲームには乗り切れない、勝てそうにない自身を省みる)
<チラシ>