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展覧会レビュー、怖い絵展@上野の森美術館

展覧会:怖い絵展
鑑賞日:2017年11月
美術館:上野の森美術館

・企画の勝利!、話題性十分で大人気・・入館まで140分
・普段、目にする機会の少ない画家の絵も多く、企画から選別された絵はいろいろ解釈できて楽しめた
・神話~怪物~現実~歴史とテーマに沿って絵が展示されていて、少しこじつけな所も感じつつ、解釈によって絵の見え方も変わるため、解説の力は大きい
・セザンヌの「殺人」という「死」をテーマとした絵があり、とても意外な絵を描いていることに驚いた
・目玉である「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は予想より大きな絵で、緻密な描写もあいまって迫力ある絵画
・死や恐怖の表現には、死の場面を描くものから怪物をそのまま描くもの、暗示によって表現するものまで様々。どんな表現に死や恐怖のイメージを抱くかは、受け手のチャンネルにも多様性があり、自分との対話にもなる

〇今回の一品(お気に入り)
ギュスターブ=アドルフ・モッサ『彼女』
男を食う女・・マンイーターを表現したモノ
裸身に描かれる強いエロスと、死体の山・・エロスと対照的な冷たい眼差し。インパクトある

〇展覧会チラシ





展覧会レビュー、デンマーク・デザイン展@損保ジャパン日本興亜美術館

展覧会:デンマーク・デザイン展
鑑賞日:2017年11月
美術館:損保ジャパン日本興亜美術館


・ブロガー内覧会にて、鑑賞
・デンマークというと、北欧デザイン・・いわゆるシャレオツなインテリア、食器などの展示
・どこかで見たことのある素材感、工業製品でありながら柔らかみのあるデザイン、シンプルだけど品のある簡素さ
・工業性(モダンさ)と木材を活かした素材感のあるバランスに、独自の世界観を感じられる
・デザイナーは何人も出ている中で、北欧デザインのアイデンティティともいえる共通の様式美、共通点を感じることができる
・シャレオツな家具はこう使えば良いのだ!と、デザイナーが自宅で使っている写真が展示されているが、家の広さや構造が日本とそもそも違うので、やはり写真の中での別世界に見えてしまった
・ハンス・ウェグナーの椅子に、実際に座ることのできるエリアがあり、ちょっと憧れていた椅子の座り心地を確かめられるだけで、行く価値はある

〇ブロガー内覧会の様子
*下記の写真は、ブロガー内覧会用に特別に許可を得て撮影したものになります。




〇今回の一品(お気に入り)『サークルチェア』ハンス・ウェグナー
デザイン雑誌等で一度は見たことのある椅子・・本展覧会では実際に座ることができます。
長時間、座り続けるのは難しいバランスだけど、デザインは秀逸

〇展覧会チラシ






展覧会レビュー、興福寺中金堂再建記念特別展 「運慶」展@東京東京国立博物館

展覧会:興福寺中金堂再建記念特別展 「運慶」展
鑑賞日:2017年10月
美術館:東京東京国立博物館


・玉眼の構造的な説明があり、仏像を見ていく参考になった
・菩薩像の腰にヒネリがはいっていて、慶派の特徴らしい。菩薩像は垂直に立っている印象があるので、珍しく感じた
・運慶、仏像は肉感的と言われるが、下腹がしっかり出ているのが共通していて面白い
・大きな仏像が多く、仏像の周りを周回できるようにしていたり、CT画像での仏像内部の説明などがあり、いろいろ工夫されていることが分かる
・玉眼の効果か、仏像の表情に変化があり、個性が感じられるモノが多かった。やはり目線が分かると、表情として伝わるのだろう
・四天王立像(興福寺)の多聞天像、見下ろす構造の仏像が多い中、見上げる構造の姿で、印象に残る
・鹿や犬の木造があり、とても珍しい。犬の木造は、シンプルながら純朴さの伝わる姿で、可愛らしい

〇今回の一品(お気に入り) 毘沙門天立像(国宝)願成就院
立ち姿に品があり、装飾もシンプルで力強さがあった

四天王立像(興福寺) 多聞天像
見上げる構造の姿が珍しく、もう一つのお気に入り

〇展覧会チラシ





展覧会レビュー、天下を治めた絵師 狩野元信展@サントリー美術館

展覧会:天下を治めた絵師 狩野元信展
鑑賞日:2017年9月
美術館:サントリー美術館

・狩野派二代目、画体(真・行・草)を確立。狩野派の『型』を作り上げることで、工房として流派の運営を可能とし、画業集団を作り上げていった。
・行・草」のマークがあり、画体の違いを較べやすいよう工夫されていた
・真体、中国絵画のセオリーにならった明確な構図、格式高い表現
・行体、構図・線にゆるやかさがあり、日常的な接しやすさがある
・草体、ラフ画のような単純な線で、深みはないといえる。接しやすさはあるが、印象にも残りにくい
・絵巻、色彩も鮮やかに配色にもバランスを考えている様子がうかがえる。オレンジの色使いに目を惹かれるモノがあった

〇今回の一品(お気に入り) 真山水図
父「正信」の山水図を基としながら、構図や世界観に広がりが与えられ、枠が大きくなった印象がある

〇展覧会チラシ












展覧会レビュー、生誕120年 東郷青児展@損保ジャパン日本興亜美術館

展覧会:生誕120年 東郷青児展
鑑賞日:2017年9月
美術館:損保ジャパン日本興亜美術館

・ブロガー内覧会にて、鑑賞
・1915~50年までの作品を通して、東郷様式といわれる形が成立していく流れを展示
・初期の作品、キュビズム的な抽象性と分割(人物など)した表現と、暗めな雰囲気の色使い
・1930年代、女性を題材とした作品が増え、初期と比べてツルリとした質感の肌表現がでてくる
・1950年代、透明感のある女性画の様式がハッキリとした形となっており、東郷様式の形が統一されたと言える
・各年代を通じて、雑誌絵、モザイク絵、壁画、舞台芸術など、いろいろな画業をこなしていることが分かる。
 仕事の積み重ねが、技術的な深みともなり、独自の様式美へつながっていったと感じる

ブロガー内覧会の様子(特別な許可のもと撮影しています)
今回の一品(お気に入り) 『郷愁』
他の作品と違うアラブな雰囲気?があり、生々しさ・生命力を感じた

〇展覧会チラシ





展覧会レビュー、ボストン美術館の至宝展@東京都美術館

展覧会:ボストン美術館の至宝展
鑑賞日:2017年8月
美術館:東京都美術館

・エジプト、中国、日本、フランス、アメリカ、現代美術と広い分野の作品を一気に鑑賞できる
・オールドマスターの作品から現代美術まで、トータルに鑑賞できるのは、ボストン美術館の魅力と実感
・江戸~明治にかけて、日本から海外に渡って鑑賞できなくなっている作品をみられる良い機会になった
・アメリカ絵画は目にする機会も少ないので、新鮮さがある
・英一蝶の『涅槃図』が修復され、日本初公開・・修復作業の映像もあり、海外での修復は当然ながら現地の外国人が作業しており、修復技術が海外で守られていることに不思議さを感じる
・『涅槃図』は思っていたより大きな作品で、色鮮やかに修復されていた

〇今回の一品(お気に入り) ゴッホ『ルーラン夫妻』
*特に妻の方、背景・服の色も緑ながら、互いに殺しあわず存在感を保っていることに魅力を感じる

展覧会レビュー、ドヤ顔パンダに衝撃・・世界報道写真展2017@東京都写真美術館

展覧会:世界報道写真展2017展
鑑賞日:2017年7月
美術館:東京都写真美術館

・展示品は、『Word press photo』
・会場の入口すぐにトルコでのロシア大使暗殺時の大きな写真があり、生々しい雰囲気に目を惹かれる
・ヨーロッパでの難民問題、アメリカでの警官による黒人射殺など、世界で話題となった内容が多かった1年だと実感
・シリアでのISとの戦争も終わりが近いが、市民にとっては生活の全てを破壊された様子に心が痛む
・ロシアの陸の孤島ともいえる教会の島?、時間の流れの早い世界の中で、明らかに時間の流れの違う雰囲気が印象に残る
・目が離せなかったのは、カメラ目線でドヤ顔のパンダ・・パンダ飼育員の着ぐるみ?
着ぐるみでは、さすがのパンダも仲間じゃないと分かるだろう?と突っ込みを抑えられなかった

〇今回の一品(お気に入り) ドヤ顔パンダと飼育員




展覧会チラシ



展覧会レビュー、目玉はヌードのキリスト大理石像『レオナルド✖ミケランジェロ展』@三菱一号館美術館

展覧会:レオナルド✖ミケランジェロ展
鑑賞日:2017年7月
美術館:三菱一号館美術館


・ブロガー内覧会で、三菱一号館美術館を初訪問。美術館の周囲はなかなかにオシャレゾーン
・レオナルド(ダヴィンチ)は、いつも通り素描や手稿が多く、色付きの絵画はとても少ない
・レオナルドとミケランジェロをいろいろな素材で比較し、相互に意識しあっていた影響を表現しようとした展覧会

・比較品の1つ、『レダと白鳥』はどちらも追随者による模倣品。オリジナルは、どちらも焼失している。
 レオナルドの作品は、確かにレオナルド作品の雰囲気が感じられた。
 特に白鳥の目がスゴイというか、素晴らしいというか・・・エロいというよりイヤらしい感じが、何とも言えない
 ミケランジェロの作品は、正直、ミケランジェロの特徴がどこに見ていけば良いか分からなかった。
レダの足は、男性の足をモデルにしたとかしないとか・・・その辺りがミケランジェロ的なのかもしれない

・目玉の一つ、ミケランジェロの大理石像『十字架をもつキリスト』2000年にミケランジェロ作であることが判明したもの。
確かに大型の大理石像で、顔にキズがあるのも見て取れる。
*製作中に顔にキズが現れたため、途中で制作を放棄されたものらしい
フルヌードのキリスト像は珍しいらしい

○今回の一品(お気に入り) 『レダと白鳥』(レオナルド)


<参考> 『レダと白鳥』(ミケランジェロ)

○チラシ



展覧会レビュー、バベルの塔よりブリューゲルの怪物の方がインパクトあり『バベルの塔展』@東京都美術館

展覧会:バベルの塔展
鑑賞日:2017年6月
美術館:東京都美術館

・展示場に入るまで、20分の行列
・ボス~ブリューゲル、その他の模倣者の作品が多数
・ボスから始まる奇想、怪物絵の系譜がブリューゲルほかいろいろな画家に影響を与えたことが分かる怪物づくし?の展覧会

・怪物絵のなかに『バベルの塔@ブリューゲル』が、特別扱いで展示されている。
☆ピックアップした細部の描写の説明
☆拡大した模写
☆映像での解説資料

・バベルの塔は確かに大作だが、ボス~ブリューゲルの怪物画(版画)の方がインパクトがある
・題材が宗教画にもかかわらず、かなり独自な怪物表現がよく模倣者がでるほど受け入れられたと思う
他の人物画や風景画などの質が高く、評価が高かったことが基盤に夏ているのだと思うが、一歩間違うと、ちょっとオカシイ変態画家とみられそう
怪物画シリーズは、イタリアなど別の地方では受け入れられなかったのではないか?
ネーデルラントという地域、人々に独自の精神性があったように感じる

○今回の一品(お気に入り) 『聖アントニウスの誘惑』@ブリューゲル

○チラシ





展覧会レビュー、世界初公開『スラブ叙事詩』は圧巻の大作、行列は大変だったミュシャ展@国立新美術館

展 示:ミュシャ展
鑑賞日:2017年5月
場 所:国立新美術館

・展示場に入るまで、約1時間の行列
・展示スペースが思いのほか小さく、1つ1つの作品を見ていく余裕もない混雑だったため、早めに会場をでてしまった

・『スラブ叙事詩』は、大きさといいテーマといい評判通りの大作で圧倒された
・ミュシャというと、女性を描いたポスター画の作品が印象に残っているが、それらと比べると自分の描きたいモノを描いていったようにも感じる。
・ミュシャ独特の近代的な雰囲気と、古典的なテーマに民族の歴史を取り込もうと努力しているように感じられた。
・ミュシャへのポスター画家という印象を、ひっくり返してくれた良い展覧会だった。
・『スラブ叙事詩』は世界初公開というが、チェコがよくこれだけの作品を、日本に貸してくれたものだと思う。

○今回の一品(お気に入り)

○チラシ