展覧会レビュー、フラグメント 未完のはじまり展@東京都現代美術館

 定例鑑賞会で訪問した東京都現代美術館で開催されていた「MOTアニュアル フラグメント 未完のはじまり」展の記録です。

 東京都現代美術館で毎年、日本の若手作家による現代アートの動向を紹介する展覧会だそうです。 今年で、13回目になるようですね。
 現代アートは、人によって好き嫌いがハッキリ分かれるジャンルですので、何ですが今年はこれまでと違うジャンルにチャレンジ!ということで、現代アートに関する展覧会も積極的に取り組んでいます。

 今回の展覧会では、6人/組の若手作家が展示を行っているということで、展示手法も素材・題材も多様な展示を鑑賞しました。
 展覧会のキーワードでもある「フラグメント」・・・”断片”や”かけら”を意味するモノとして、展示を構成することになっているようで、展示作品には小物・ミニマムなモノが多数ありました。
 展示の手法もミニマムに、作品の主張も細かくミニマムにしたためか分かりませんが、作品名と展示物をつなげる作業が大変に難しかった。
 自分はアート作品を読み解くということができるわけではないので、そもそもどうでも良いことなのかもしれませんが、つい題名と解説があるとそれと作品にどんなつながりがあるのか探そうとしてしまいます。

 そういう意味では、現代アートはそもそも題名がないし、解説はあっても主観的すぎて全く分からないということも多いため、小坊主にとっては未開拓のジャンルです。
 最近は、変に理解しようとすることも解説を通して自分に取り込むということも止めて、作家の発想と造形の妙を楽しむようにしています。
 そういう意味では、もっとデザイン的にグッとくるモノがあっても良いのですが、アフリカンアートに感じたデザイン的な自由さには、現代アートでは出会うことができていません。

 現代アートが作家の何かを表現しようといろいろ手法や方向を工夫しているのは分かるんですが、自分にとってはパッションや精神性が足りない気がします。

 何でですかね?

 今回の展覧会で、一部、撮影可能な作品があったので、そちらをアップしています。
 来年も違う作家の展示があるのだと思うので、何か変化があるものか来年もできたら鑑賞に来たいなと思います。







39(サンキュー)アート in 向島2014@散策

 向島界隈で毎年、39アートin向島なるイベントが開催されているということで、行ってきました(かなり過去のネタを今更のアップで、スミマセン)

 
 向島界隈には、昔ながらの一軒家等を活用したギャラリーがいくつかあるということで、そちらを見て回りつつ散歩の達人を片手にかつての赤線地帯を散策してみました。
 散歩の達人いわく、赤線地帯の~だったタイル張りの建物等があるらしいのですが、地理に疎い小坊主には該当する建物を発見できず、周辺の長屋的な建物や歴史の色の濃い街の雰囲気を味わう程度の散策となってしまいました。
 機会あれば、もっとシッカリとこの周辺を散策してみたいと思っています。

 今回はアートイベントを回るということで、まずは写真家の展示が開催されているギャラリー「reminders photography strongholdギャラリー」へ。
 こちらのギャラリーでは、外国の方が撮影してきたエジプトの写真・映像が展示されていました。
 写真・映像の内容は、「エジプトの春」ということでなかなか迫力あるモノが多かったです。
 展示方法はプロジェクターで写真等を映していくというスタイルのため、ジックリと作品を見ていくということはできなかったですが、小さめのギャラリーでの展示としては、ままある方法でしょう。
 面白かったのは、ギャラリーの2階が作家のお泊りスペースになっているということで、宿泊しながら展示会をやっているようでした(笑
 外国からの人としては展示もさることながら、リーズナブルに滞在しつつ日本を回れる拠点を得られるというのは、十分なメリットがあるのかもしれません。




 39アートに参加しているカフェも紹介されていたため、散策がてらそちらにも行ってみました。
爬虫類館分館という名前でガイドブックにも載っているお店が案内図にあったため、訪問してみました。前にも来たことあるような気がしたのですが、キラキラ橘商店街のところにあるカフェでした。
 中は2階が居住スペース?展示スペース?になっているようで、イベントもあるようです。39アートにちなんだ、500円でのお茶セットがあるということで、そちらをいただきました。
 クッキーとティーで一服・・・店内の渋めのインテリアを眺めつつ、休憩です。
 錦糸町・押上界隈は、店で賑わっている!という雰囲気はないですが、建物や下町の雰囲気を活かした店が所々に点在していて、賑わっているわけでも寂れきっているわけでもない面白いエリアです。
 ある意味、落ち着いていて商売っ気のないのが、気にいっています。
 元から縁のないエリアですが、表参道とか六本木とか洒落乙なエリアには、興味がなくなってしまいました。
 小坊主が老化したためか、感性が変化したためか、元からジジ臭いのか・・・そのあたりは、あまり突っ込まずにソッとしておきましょう。
 さて、散策を続けキラキラ橘商店街を抜けて、次のギャラリーへ向かいます。こちらの商店街で、有名らしいのがコッペパンの店です。
 以前に一度、賞味したことあるのですが、今回は残念ながらコッペパンは売り切れていました。


 商店街を抜けて、一軒家を展示場として活用しているギャラリー「あをば荘」へ。
 こちらも映像を使った作品が、メインで展示されていました。
 この急な階段と壁のくすみ具合が日本家屋!2階の展示も父と子の会話を録音したモノが流されていて、独特の雰囲気がありました。
 こういう辺鄙(失礼)な場所で、ギャラリーを開設するメリットって何かあるんでしょうかね?

 作家としては、安い場代で作品を展示するスペースを得られるのかもしれないし、展示の制約も少ないと思うので、勝手がきくのかもしれません。
 お客は少なそうですが・・・ただ、作家やギャラリー同士のネットワーク上で機能している場合もありますので、今の時代、場所にとらわれる必要はないかもしれません。

 希望としてはもっと街歩きが活発になり、展示や作品、作家の活動が根付いたイベントが増えていくと、開催する方も参加する方も充実したモノになりそうです。
 もう、参加人数とかそういったモノを追う時代ではないのだろうとは思いますが、コンテンツだけが浮いた形にならないイベントができると、街の魅力も増すんじゃないでしょうか。
 日本の街は、海外の街と比べてやはり建物等の歴史的な雰囲気や魅力が乏しいので、街の色や個性に味わいが出てきてほしいですね。






安兵衛寿し(夜の部)@錦糸町

 以前にランチに訪問した安兵衛寿に、夜の晩酌コースがあったので、どれどれ?と再訪してみました。





 扉を開けると、常連客らしき人たちでカウンターは満席。昼に訪問した時は、他にお客がいなかったのですが、夜はそれなりにお客が入っているようで、安心しました。
 大将はあまり話すイメージなかったのですが、カウンターのお客とはいろいろ会話が弾んでいました。
 寿司屋っていうのも面白い商売ですね。客の目の前で仕事しつつ、客と会話しコミュニケーションの距離がとても近い。
 まがりなりにも寿司屋というものにくると、回転ずしは好きですが、やはりちょっと味気ない気分になってしまうものです。
 
 今回、頼んでみたのは「晩酌セット 2,000円」
 セット内容は、熱燗1本・刺身の盛り合わせ、小鉢×1、巻物×6カンです。
 熱燗は本当に熱燗で、持つのが難しかったくらい。もうちょっと温燗だったら良かったのですが、まぁ、酒にウルサイ方でもないのでチビチビと飲んでいきます。
 つまみですが、鮮度が良ければ、刺身はなんでも美味い。刺身が美味いと日本酒も美味い(笑
 最後のアラ汁も出汁が染みていて、週末の疲れた心と体を癒してくれました。
 
 本当は追加で、数カンでも寿司を食べたかったのですが、ゆっくりと食べたこともあり、晩酌セットで満腹のため晩酌セットのみで大人しく退店しました。
 軽く摘まみつつ飲むには、ちょうどいいセットです。また、タイミングを見て訪問したいと思います。

 次は、フグの鍋セットでも行ってみたいですね!

小皿にオレンジ一色で『くじゃく』を絵付けしてみたら・・・@陶芸

今回の絵付けのネタ帳です。



 前回の作品に続き、同じ形での小皿が完成しました。
 器の形としては、前々回前回と引き続き貝をモチーフに形を造っています。
 前々回はベタな塗りで染め、前回は鮮やかな色合いを求めました。
 今回は、絵付けをしていますが、できるだけ色の選択を少なく、シンプルさを求めてみました。





 単色で絵付けするのも初めてなので、完成した時の雰囲気がどうなるか心配なところもありましたが、オレンジが綺麗に発色されたし、可愛い?感じになりました。
 シンプルな絵柄を描くときは、青呉須などでの抑えた色合いにした方が、上品さを表現できるのかもしれません。
 青呉須の一色では、古臭くなってしまう?と思っていたので、躊躇するところありましたが、完成した時の雰囲気は少し古さを感じるくらいが、シックリくるかもしれません。
 単に自分がそういう作品を、よく見ているからかもしれませんが・・・

 絵付けの下絵は、回数をこなすことで、少しはまとまりある姿を描くことができるようになってきました。
 この絵もデザイン集からのパクリなので、オリジナル性は皆無ですが(笑
 オリジナルっていうのは、自分の中にいろんな表現が蓄積されてから、やっと形にしていけるモノだと思うので、まだまだ、先人の力を借りて作品に反映していきます。
 今後は、茶碗を二つ作る予定です。
 茶碗は自家用のため、あまり絵付けのデザインをこらずに、シンプルに釉掛けして作るつもりですが、最近、陶芸教室fugaで新しい釉掛けの方法として、もみ殻を使った方法ができるようになりました。
 もみ殻を使うと、焼成時の化学変化がまた変わるようで、釉薬自体の表現が単色の深みに乏しいものから、ムラというかランダムな変化を起こすことができるようです。
 シンプルながらも、長く使える茶碗を目指して、久しぶりの造形に入っていきます。

 いつも絵付けに時間がかかるので、菊練りができなくなるんですよね(笑
ついでに、いろんな技法の基本も忘れています・・・ なかなか定着しないもので、レベルアップが中途半端になっていますが、マイペースに続けていくつもりです。




米国人が撮った1月の日本@動画


January in Japan from Scott Gold on Vimeo.
「1月の日本」Scott Gold)


 スコット・ゴールドさんが、日本の旅行時に撮影した外国人から見た日本の景色。
 改めて動画で見ると、日本の景色の美しさに心洗われます。
 普段、忙しさに流されて忘れているものが、沢山あることを思い出します。

展覧会レビュー、7月 定例鑑賞会 世界報道写真展2014@東京都写真美術館


Art倶楽部(美術館巡り)で、毎月、開催している定例の美術鑑賞会の内容です。
年間の予定通り、7月は東京都写真美術館で開催されている「世界報道写真展2014」を鑑賞に行きます。

世界報道写真展2014@東京都写真美術館
http://syabi.com/contents/exhibition/index-2244.html
開催日/7月27日(日)
集合時間/14:00
集合場所/チケット売り場

毎年、恒例の世界報道写真展の鑑賞会です。
今年は昨年より紛争関係の写真が少ないようですが、世界の印象的な出来事をカメラを通して、昇華された作品を鑑賞することができます。
毎年、見ごたえのある展覧会ですので、楽しみにしています。


ちなみに、こちらで今年の世界報道写真展のギャラリーを見ることができます。
写真展のすべての写真が日本でも展示されるわけではないので、他にも印象的な写真がないか探してみるのも良いかもしれません。
画像と大判の写真では、印象がいろいろ違ってくるので、画像と実際に見た自分の感情を比べてみると面白いと思います。

人間国宝展 2014年@東京国立博物館 展覧会レビュー


 また、過去のネタですが「人間国宝展 ― 生み出された美、伝えゆくわざ―」へ行きました。
 クリーブランド美術館展も同時開催だったのですが、こちらの方が強く印象に残っています。
 展示内容で面白かったのは、古典の作品と古典の魅力を新たに表現した現代の作家の作品を並べて展示していたことです。
 並べて比較すると、作家による変化・共通点をじっくりと見ていくことができて、とても素晴らしかったです。

奈良三彩壺@奈良時代
三彩花器「爽容」@加藤卓男

志野茶碗 銘「広沢」@美濃(安土桃山時代~江戸時代)
志野茶碗@荒川豊蔵

朝鮮唐津一重口水指@美濃(江戸時代)
朝鮮唐津耳付水指@中里無庵
 実際にこうしてそれぞれの作品を比べると、古典の影響と現代作家としての造り替えが一目瞭然です。
 小坊主としては、特に志野茶碗と朝鮮唐津水指が、とても魅力的でいつか似たモノの作成にチャレンジしてみたいです。
 志野茶碗の自然な赤色、朝鮮唐津のドップリとヒビ割れるほどの白釉は、自分の陶芸の分野にはない魅力があるので、目を奪われます。
 自分もいつも陶芸のネタをネタ帳からパクってますが、修業の基本は真似事から!・・・造ってみたいと思える作品に出会えたことは、とても幸運です。
 
 さて、ここからは現代工芸家(人間国宝)の作品で、印象深かったモノを見ていきます。
金彩銀壺「山背」@増田三男

縮緬地友禅訪問着「歓喜」@上野為二

草白釉釉描加彩翡翠図四角隅切筥@藤本能道

濁手つつじ草花地文蓋物@酒井田柿右衛門(14代)

赤とんぼ蒔絵箱@松田権六

曲輪造彩漆鉢@赤地友哉

布目象嵌露草文銀四分一接合水指@鹿島一谷

截金彩色飾筥「花風有韻」@江里佐代子

耀彩壺「恒河」@徳田八十吉

平文輪彩箱@大場松魚

蒟醤櫻花欄漫盆@磯井正美

沈金箱「篁」@前史雄

放射文乾漆盛器@増村紀一郎
蒔絵螺鈿八稜箱「彩光」@室瀬和美
 多様な分野(工芸、染織、金工、漆芸など)の作品が、約140点も展示されており、2時間程度の鑑賞時間ではとても足りませんでした。
 どの作品も完成度が素晴らしく、技術というより”わざ”と呼ぶに相応しいオーラのような存在感が溢れていて、見入ってしまいました。
 デザイン的には古典的なモチーフを描きながらも、表現技術は現代の”わざ”を通して、色合いといいモチーフの構成といい、新しい世界が表現されています。
 現代アートにありがちなパッと見のインパクトや、自己満足臭さなどは違う、蓄積された表現力には敬意を覚えます。
 見せ方のインパクトに拘らず、”わざ”で魅せる・・・乾いた小坊主の心にも、グッときます!

 とても濃密な時間を過ごすことのできた展覧会で、小坊主は満足です。
 東京国立博物館では、今年の10月15日から12月7日まで「日本国宝展ー祈り、信じる力ー」を開催するようです。
 寺社仏閣にある絵画や彫刻・工芸ということで、人間国宝展よりは、かなり渋い展覧会になりそうですが、今度は日本の国宝展ということで、期待しています。