2015年12月13日

2015.9月 読書録 この世で一番大事な金の話、ほか

9月の読書録です。

日本人の階層意識



 人の行動や意識が、社会との関わり(学歴、経済的地位、地域環境など)によって、無意識的に影響を受けている。
 このことをサンプリング調査や統計資料から、読み取っていこうという内容でした。
・以前は住んでいる地域が同じでも所属する集団がそれぞれで異なっているため、相互の違いを意識することが少なかった。
・人々は、『中流』という言葉の中身が曖昧で、自分の見えている範囲の中(所属する集団を基準に)で、中流とそうでないかを把握していた。
地域や所属する集団で『中流』の基準や中身が違うのに、見えている範囲に異なりが少なく見えていたので、総中流意識が日本人に定着していた。
・戦後からの経済発展もあり、大学進学率や就職率なども安定して推移するようになり、社会階層の曖昧さが薄れ『中流』に関する基準が数値や条件面で一般化した。
*祖父の代(高卒) ⇒ 親の代(大卒) ⇒ 子の代(大卒)
 各世代で意識している『中流』等の認識は、一定しておらず曖昧さが多くある
 子の代へ移っていく過程で大卒が一般化し、『中流』に対するイメージも安定したものとなる
 『中流』の条件が一般化していく過程で『格差』が鮮明となり、人々に意識されるようになった。

 類友ではないですが会社にしても他の友人関係でも、自分の見えている範囲にある人たちは、概ね似た環境・条件にある人たちになる。
 自分の見えている世界に、それ以外の基準の人がいないし相互に関係することもないので、『自分の見えている世界』=標準と捉えてしまうというのは、よく分かります。
 本書の最初で興味深かったのは、次の内容です。
フランスの社会学者「P・ブルデュー」いわく、人びとの趣味判断と社会階級には関係がある
社会的に説明される趣味や好みは、所属する社会階級によって異なるだけでなく、階級的地位を継承させるための『資本』として機能しているということ
 『正しい』身なりで、『正しい』言葉づかいで、『正しい』マナーで振る舞うことで、上層階級に育った人は、その社会での成功のチャンスを高め、自身も上層階級に入っていくことになる。
 『正しい』趣味判断は、社会的に成功するための(文化)資本として利用される

 西洋の階級社会と日本の階級に対する考え方は、同列に意識されるものではないと思いますが、個人の趣味・嗜好とされるものも、無意識的に地域や社会の影響(所属する集団によるものなど)を受けている。
 それぞれの集団で『暗黙知』とされるルールを理解できないと、その集団に入ることができないというのは、何かしらの形であると思いますが、それが『資本』(文化的な)として継承されるものでもあるという考えはありませんでした。

 初期の家庭環境の時から、文化的な『資本』の継承が始まるとすると、「三つ子の魂百まで」ではないですが家庭という文化の影響は、大きいと改めて感じました。



鳥頭紀行 アマゾン


 図書館で軽く読めるものを探していた時、ふと目に留まり漫画エッセイのような形式なのと、ジャングルの言葉に惹かれて読んでみました。
 サイバラ先生の漫画や本はまともに読んだことがないのですが、破天荒な人生と絵柄の作家というイメージは持っていました。
 確かFXに自腹で挑戦してリーマンショックな大波に攫われたとか、そんなのを立ち読みした記憶があります。
 内容は、宴会で言い出したアマゾンで巨大魚を釣るために現地に行く!というルポ?漫画です。
 サイバラ先生の絵柄や色使いは、人によってはキツイのでしょうが自分は気になりませんでした。
 それぞれの立場の参加者が自分の視点からアマゾン紀行を書いているのですが、見事にバラバラで相互をつなぐものは、『酒』しかないような状態です。
酔っ払い紀行みたいなものですが、自由人な雰囲気にあふれてて笑えます。

 現地に行ってる人には、苦痛しかないんじゃないか?とも思うけど、体を張ったギャグ漫画家を自称するサイバラ先生・・・30代~40代からの青春紀行にも読めてきて、グダグダっぷりが癖になりそうです。



アジアパー伝


 鳥頭紀行に続いて、サイバラ先生に関連したものです。
 作者は鴨志田さんで、『鳥頭紀行 ジャングル編』に同行していたカメラマンが初の取材でカンボジア(アンコールワット)の紛争地帯へ行かされ、ポルポト派に捕まるまでの自伝的なものです。
 変わった構成の本で、上半分がサイバラ先生のマンガで下半分が鴨志田さんの文章になっています。
で、上のマンガ部分と下の文章部分につながりが全くない!という自由な構成。

 鴨志田さんは、『鳥頭紀行 ジャングル編』でサイバラ先生と結婚することになったそうですが、サイバラ先生からのコネで出版させてもらったのでしょうか、穴埋め的なマンガの使い方があからさまで、いろいろと割り切った本です(笑


 サイバラ先生のマンガは、エッセイコミックなもので日常的な鴨志田さんとの生活での葛藤や感想が描かれていて、たまの重たいこと(鴨志田さんのアル中問題など)も軽めに読めてしまいます。
 マンガの部分を通して、サイバラ先生や鴨志田さんの一面を知ることができるので、作者に親近感を覚えたりして不思議な感覚になります。

 文章部分の鴨志田さんがフリーの報道関係の上司に上手く仕事を押し付けられていく様や紛争の始まるアンコールワットへ乗り込む流れは、光を浴びないどうしようもない所で生きていく人の生感があります。

 当時はバブルのころで、タイやインドで薬漬けやアルコール漬けになっていた人もたくさんいたんだろうなと、そういう世界に片足?全身?を突っ込んだ人が、どうやって仕事をしてどうしようもない何かに嵌まり込んでいく姿は興味深かったです。


傷口から人生


 表紙の絵柄からして分類が中高生向けのところにあったのですが、どこかの書評で面白いとあったので、読んでみました。
 作者の人は自分でメンヘラというだけあって、家庭環境からしてなかなかに面倒な生きにくさを抱えたところがあったようです。
 独り立ちするまで右往左往しながらも書くことは止められず、この本を出版するところまでたどり着く半生記を記したものですね。
 文章は読みやすいですし、自分の思いや経験をストレートに書いていて素直な文章です。
 小坊主も癖?の強いアレな人間なので、書かれている経過には共感するところもあるのですが・・・内容的にはそこまで刺激を受けるものではなかったです。
 半生記なので自分語りの部分が多く、小坊主がオヤヂになってしまったせいもありますが、そういう生き方の進み方もあるよねという感想です。
 自分語りの本としては、エリ・ヴィーゼルの『夜』が衝撃的過ぎて他の作品からの刺激が薄くなっているせいもあると思います。

 個人的には内容よりも、作者の今後が気になりました。
 自伝的な文章は作者の過去をまとめたもので本人は書きやすいでしょうし、言葉にも経験からくる説得力も付いてくるものでしょう。
 Amazonでみたところ、他の本は『人生に疲れたらスペイン巡礼』という、この本でもイベントとして取り上げられていたスペイン巡礼の旅をまとめたものがありました。
 こちらは読んでないのですが、自分の体験をまとめることはできても、自分の経験によらない文章を創作していくことができるのだろうか?と疑問がでてきてしまいました。

 作者が文章を書いて生きていきたいという希望を持っていることが本を通して分かっているだけに、本当に執筆という世界で今後もちゃんとやっていけるのだろうか?と余計な心配をしてしまいました(笑

マンション・インテリアの基本


大人の上質インテリア


大人の素敵インテリア

 新居に引っ越すにあたり、何か参考にならないかと読んでみたのですが、事例が高級すぎて全く参考にならないという残念な結果になりました(笑
 そもそも、イスとテーブルの生活を想定していないという時点で、読む分野を間違ったように思います。

 小坊主はちゃぶ台な生活を志向しているため、ライティングぐらいしか参考にならなかったです


この世で一番大事な金の話


 サイバラ先生の自伝的なエッセイマンガです。
とある田舎の港町に生まれたサイバラ先生が、家族とのアレヤコレヤを超えて上京し独り立ちしていくまでの生々しくも生きる力を感じられるものでした。
 本を貫くのは、『金』と『環境』で決まっていく人生についてです。
 田舎町の話で周囲は等しく貧乏・・・本人が意図するしないに関わらず『金』のない『環境』から、中卒・高卒から夜のお店で働いて、その子供も自分と同じ貧困にとらわれていくという、貧困の再生産がどんな環境で起こっていくのかが分かる気がしました。
 サイバラ先生は運か因縁か分からないけど、巡りあわせで上京することになり、学生時代から『金』をもとめて営業活動をしていきました。
 美術学校で芸術やアートに突っ込んでいる人たちとは、初めから『描く』ことの目的や動機が違います。
 『描くこと』=『働くこと』=『金を得ること』=『自由になること』がストレートにつながっていて、働いて金を得ることが自由につながる点について、小坊主も共感しました。
 意地汚く聞こえやすい『金』の話ですが、『人生』にもつながる大事なことでもあります。

 サイバラ先生ほど波乱万丈ではないですが、常に遠回りをして生きることしかできなかった小坊主にとっては、感慨深い本となりました。




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