人間国宝展 2014年@東京国立博物館 展覧会レビュー


 また、過去のネタですが「人間国宝展 ― 生み出された美、伝えゆくわざ―」へ行きました。
 クリーブランド美術館展も同時開催だったのですが、こちらの方が強く印象に残っています。
 展示内容で面白かったのは、古典の作品と古典の魅力を新たに表現した現代の作家の作品を並べて展示していたことです。
 並べて比較すると、作家による変化・共通点をじっくりと見ていくことができて、とても素晴らしかったです。

奈良三彩壺@奈良時代
三彩花器「爽容」@加藤卓男

志野茶碗 銘「広沢」@美濃(安土桃山時代~江戸時代)
志野茶碗@荒川豊蔵

朝鮮唐津一重口水指@美濃(江戸時代)
朝鮮唐津耳付水指@中里無庵
 実際にこうしてそれぞれの作品を比べると、古典の影響と現代作家としての造り替えが一目瞭然です。
 小坊主としては、特に志野茶碗と朝鮮唐津水指が、とても魅力的でいつか似たモノの作成にチャレンジしてみたいです。
 志野茶碗の自然な赤色、朝鮮唐津のドップリとヒビ割れるほどの白釉は、自分の陶芸の分野にはない魅力があるので、目を奪われます。
 自分もいつも陶芸のネタをネタ帳からパクってますが、修業の基本は真似事から!・・・造ってみたいと思える作品に出会えたことは、とても幸運です。
 
 さて、ここからは現代工芸家(人間国宝)の作品で、印象深かったモノを見ていきます。
金彩銀壺「山背」@増田三男

縮緬地友禅訪問着「歓喜」@上野為二

草白釉釉描加彩翡翠図四角隅切筥@藤本能道

濁手つつじ草花地文蓋物@酒井田柿右衛門(14代)

赤とんぼ蒔絵箱@松田権六

曲輪造彩漆鉢@赤地友哉

布目象嵌露草文銀四分一接合水指@鹿島一谷

截金彩色飾筥「花風有韻」@江里佐代子

耀彩壺「恒河」@徳田八十吉

平文輪彩箱@大場松魚

蒟醤櫻花欄漫盆@磯井正美

沈金箱「篁」@前史雄

放射文乾漆盛器@増村紀一郎
蒔絵螺鈿八稜箱「彩光」@室瀬和美
 多様な分野(工芸、染織、金工、漆芸など)の作品が、約140点も展示されており、2時間程度の鑑賞時間ではとても足りませんでした。
 どの作品も完成度が素晴らしく、技術というより”わざ”と呼ぶに相応しいオーラのような存在感が溢れていて、見入ってしまいました。
 デザイン的には古典的なモチーフを描きながらも、表現技術は現代の”わざ”を通して、色合いといいモチーフの構成といい、新しい世界が表現されています。
 現代アートにありがちなパッと見のインパクトや、自己満足臭さなどは違う、蓄積された表現力には敬意を覚えます。
 見せ方のインパクトに拘らず、”わざ”で魅せる・・・乾いた小坊主の心にも、グッときます!

 とても濃密な時間を過ごすことのできた展覧会で、小坊主は満足です。
 東京国立博物館では、今年の10月15日から12月7日まで「日本国宝展ー祈り、信じる力ー」を開催するようです。
 寺社仏閣にある絵画や彫刻・工芸ということで、人間国宝展よりは、かなり渋い展覧会になりそうですが、今度は日本の国宝展ということで、期待しています。