川合玉堂「日本のふるさと、日本のこころ」展@山種美術館 展覧会レビュー

会期が2013年6月8日~2013年8月4日までなので、もう開催期間も終わりが近いのでなんですが、、展覧会レビューを書いておきたいと思います。
川合玉堂「日本のふるさと、日本のこころ」展@山種美術館

混み具合   辛 い/1・2・3・4・⑤/快適
作品の数   少ない/1・2・③・4・5/多い
面 白 さ つまらない/1・2・3・④・5/面白い

簡単に、川合玉堂の年表を確認してみました。

1873年(明治6年)  愛知県葉栗郡木曽川町に誕生。
1887年(明治20年) 14歳で、京都の望月玉泉に師事。玉舟と名乗る。
1895年(明治26年) 22歳。第4回内国勧業博覧会に「鵜飼」を出展。
同博覧会でみた、橋本雅邦の「龍虎図」に感銘を受け、
翌年に橋本雅邦に師事する。
1907年(明治40年) 34歳。東京勧業博覧会の審査員となる。同博覧会に
出展した「二日月」が一等賞を受賞。
1944年(昭和19年) 71歳。東京都多摩郡三田村町御岳に疎開する。
1957年(昭和32年) 84歳。自宅で病没。

年表を見ると、明治から昭和にかけての近代の画家で、年表には書いてませんが、昭和天皇の即位にちなんだ屏風を納めたり、皇后の絵の指導をしたりと結構はなやかな経歴の持ち主です。
20代ですでに出展作が受賞を受け、早くから認められていたようで、画家としてはとても成功された人のように思います。
山種美術館での掲示です。
山種美術館の名前は、前から知ってたんですが、実際に現地に行ったのは今回が初めてです。
小さな美術館ですが、とても落ち着いた雰囲気があり、鑑賞者も少ないのでゆったりと美術鑑賞できます。
今回は恵比寿から歩いて行ったんですが、あんなに近いとは思わなかった。
徒歩、10分程度なんですね。
もっと行きにくい場所にあると思い込んでいたので、積極的に展覧会情報をチェックしてなかったので、勿体ないことしてました。
鵜飼
こちらは、22歳で内国勧業博覧会に出展した「鵜飼」です。
玉堂は、この作品で同博覧会での三等銅賞を受けています。
岐阜、長良川での鵜飼の様子を描いたものになります。
鵜飼をしている人たちの姿も、イキイキしてて魅力的ですが、その背景の山水の表現が素晴らしいです。
長良川での景色が描かれてることになってますが、切り立った崖の表現など中国の景色を描いた山水画に見えてしまいます。
二日月
34歳の時に、東京勧業博覧会に出展された「二日月」という作品で一等賞を受賞したものです。
霞がかった水辺の空気感が、シットリとした情緒に満ちてます。
情景としては、一日の作業を終えた農夫が二日月が輝く空の下、帰路についているところです。
そう言われると、登場人物の姿にも変わらない日々の一日だけども、現実の重みを背にしょって進む生きる力を感じてしまいます。
86×140程度のそこそこの大きさのある作品ですが、見た瞬間にとても引きつけられる魅力ある作品でした。
雨後
62歳での作品で、特別、主題となるものはないように見えますが、山で見かける自然の姿をよくとらえた作品だと思います。
右上から左下に流れる渓流の様子といい、中央の樹木もシッカリした存在感があります。
その樹木につたう藤の木も細やかに描かれていて、自分が登山の時に目にする山の姿が目に浮かんできます。
春風春水
春という題目に相応しい、イキイキとした生命力を感じられる作品です。
船を操る船頭の慣れた手付きや船の動きが、絵に躍動感を与えていますし、船の上で談笑する女性たちにも明るい晴れやかさがあります。
ものすごく話が盛り上がっていそうですね(笑
山肌の樹木も春らしい生命力を発していて、見ている方もとても明るい気持ちにさせてくれます。
山雨一過
70歳の時の作品です。
70歳とは思えない清々しさに、満ちています。
題名から雨上がりの様子を描いているんだと思いますが、樹木の爽やかな緑が際立っています。
草の緑も風にたなびく感じがあり、とても軽やかな気持ちが伝わってきます。
早乙女
1945年(昭和20年)72歳の時の作品です。
この頃の玉堂は、奥多摩に疎開中で戦時中に描かれたものですが、時代を確認しないと、とても戦時中に描かれたと思えない長閑さがあります。
田植え中の女性たちにも明るさがあり、いろんな会話が飛び交いながらの作業かなと想像が膨らみます。
シンプルな画面の構成に対して、描かれる女性たちには、いろんな仕草が振り分けられていて、人間の生っぽさが引き立てられ、絵の魅力を引き立たせています。

玉堂の絵は、自然を描く技術も素晴らしいですが、ポイントポイントに配置された人間がいることで、とても親密な雰囲気を表現しています。
小さくても人間が描かれることの効果って、凄いんだなと感じます。
また、そこに描かれる人間に明るさや生命力を感じさせるものであることが、とても大切ですね。
明るさのある色合いに満ちた自然と、生きた人間の調和が静かだけれども、前向きな魅力を作品に与えています。
春風春水や早乙女を見ていると、田舎暮らしの理想像って感じがしてしまいます。

他にも魅力的な絵は、たくさんありました。
小坊主は川合玉堂という人を、今回の展覧会で始めて知りました。
日本画というと、屏風や掛軸とかばかり見てきたので、現代的な雰囲気がありつつも、自然の魅力を繊細に描き出す玉堂の作品にはとても魅力がありました。

下町は浅草に天国ホットケーキがあるとのこと『珈琲 天国』@浅草

 浅草に「天国」なるホットケーキがマイウーな店があるってことで、行ってまいりました。
 自宅から近いってこともあり、自転車でチャリんチャリんと到着。


 店の外観は、思ってたより小ぢんまりしてました。
外観
 店の外観は、煉瓦模様で浅草の街並みにマッチしております。
 個人的には、「天国」!という名前からもっと渋い純喫茶をイメージしていたので、さほど古くなさそうな感じでちょっと残念。
 店内も机が3~4席程度の小さな店です。
 並ぶこともあるらしいのですが、今回はスムーズに入店することが出来ました。
 オリジナルの天国グッズが売られたりしてて、小物の雰囲気が好きな人には良いのかもしれません。
ホットケーキ
 というわけで、早速、ホットケーキセット(900円)を注文!!
 この店は、ホットケーキ単品での注文は出来ないようです。
 郷に入っては郷に従え・・・ホットケーキには珈琲だろう!というわけで、必然的にセット注文になりました。

 で、肝心のホットケーキですが、これまで小坊主が食べてきた厚め!デカめ!なものと違い、小ぶりなものでした。
 色合いといい、天国の焼印といい、オサレで可愛い!と、女子の皆様にはバカ受け間違いなし・・・そんな感じです。
 大きさ的にも、そんなに大きなモノはいらなくて、軽く食べたいというニーズにはピッタリなサイズ。
 こういうところも、女性向け、もしくは、場所柄か高齢の方へのニーズに合わせたのかもしれません。
 味は、中がフンワリで甘さも強くなく、シットリしたとても優しい味です。
 バターをつければ塩味が効いて、甘さが引き立ち、シロップをかければ素朴な懐かしい味になります。

 これまで、がっつりホットケーキを食べてきた小坊主には、味わいが繊細すぎて、この量では味を満喫できん!というのが、正直なところです。
 なかなか大味なものばかり食べていると、たまに細やかな味に出会っても反応できなくなるのですね(笑

 浅草でホットケーキというと、「ミモザ」の五段ホットケーキが印象に残っているのですが、ミモザではその量の多さにノックアウトされ、しばらくはホットケーキはもう要らない!って思ったものです。
 量が多くてもダメ、小さすぎてもダメ・・・
 たかがホットケーキなれど、心躍るホットケーキを求めてやまぬ欲望・・・
 なかなかスイーツの世界も、バラエティに富んでいて、新たな出会いを期待して彷徨ってしまいます。
 まだまだ、ホットケーキ行脚は続きます。


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珈琲 「天国」@浅草
東京都台東区浅草1-41-9
03-5828-0591
営業時間 12:00~18:30
定休日 火曜日



都内ランキング、TOP3と名高い『シェイクツリー』で肉汁たっぷりのハンバーガー@錦糸町

 食べログの「東京 ハンバーガーTOP100」を見て、ハンバーガー巡りをしています。
 今回は自宅近くに、TOP3に入るハンバーガー店があるので、これは行かねばなるまい!ということで、「シェイクツリー」へ行ってきました。


 店は、錦糸町駅から徒歩10分くらいと、そんなに駅から近いわけでもなく、なかなか知らないと行かないところにあると感じました。
 交差点の角にあるので、知ってればすぐに分かるんですが。
 お店は、外観も中もなかなかオサレです。
 ハンバーガー&バーということで、酒も楽しめるようです。
 店内には、テーブル席以外にもカウンターバーのエリアもあったので、軽く飲みながらハンバーガーというのも、楽しそうです!
 ただ、ハンバーガーがウリなので、濃い味のハンバーガーに甘ったるいカクテルは飲めないので、ビールかジンとかが良いかもしれませんね。
 今回は、ランチで訪問したので、次回は夜に酒と一緒に味わいに行きたいと思います。
外観
ベーコンチーズバーガー
 で、今回、小坊主が頼んだのは、「ベーコンチーズバーガー」!
 頼んだ瞬間、お店のオネイサンに、良い選択です!と言われて、ウヒョ!って小坊主のテンションが上がったのは、秘密です(笑
 ここも、他のハンバーガー店と同じくバーガーを紙袋に包んで、かぶり付くタイプでした。
 本当はアボガドバーガーもウリのようなのですが、今回はそちらはパスして、ハンバーガーなんだから肉!的なものを味わうべきだ!!と天啓を受けたので、仕方ないのです。
 まずはビーフの味が、肉肉しくてとても味わいがあります。
 ハンバーガーと言えば、肉が美味くなくては話になりません。
 このシッカリした味わいの肉を口にすると、マクドのペラペラな肉は、ないも同然。
 あれ?どこかにお肉があったかしら?と疑問に思うほどです(効果には、人によって個人差があるので、個人の感想とご理解ください(笑。マクドファンに怒られそう)
 また、ベーコンの香ばしさ・・・これもスパイスの味が良いアクセントになっています。
 チーズといい、バンズのフカフカさといい、家の近くにこんなグルメバーガーが味わえるところがあったとは!と、感涙です。
 お近くに来られた際は、ぜひ、ご案内したい(笑


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シェイクツリー
東京 ハンバーガーTPO100 NO.3
東京都墨田区亀沢3-13-6
★★★★☆
定休日:火曜




世界報道写真展2013@東京都写真美術館 展覧会レビュー


毎年、見に行っている「世界報道写真展2013」へ行ってきました。(6月8日~8月4日)

混み具合   辛 い/1・2・③・4・5/快適
作品の数   少ない/1・2・3・④・5/多い
面 白 さ つまらない/1・2・3・4・⑤/面白い

その年代毎に、世界でいろいろな出来事が起こっているのを改めて確認することが出来るので、いつも楽しみにしています。
中には、衝撃を受ける重い写真もありますが、そこも魅力の一つだと思っています。
展示されていた写真や展示されていなかった写真も、ここ(Word Press Photo)で見ることが出来るので、見逃した方やもう一度見たい方は、見てみてください。
また、この写真をどんな人が撮影したのか?も、このサイトで確かめることが出来るので、同じ写真もまた違った見方が出来るようになるかもしれません。
PCの画面で見るのと、大判で実際に自分の目で見るのとでは、受ける印象も影響も全然違うので、基本的には実際に美術館で見て欲しいです。

自分が印象的だった写真は、こちらです。
GAZA BURIAL
イスラエルからのガザ地区への空爆で、3人の子供がなくなった際の葬式?の写真だそうです。
展示会場の一番、最初に展示されている大判の写真です。
とても緻密で大きな写真だったので、最初、まるで絵画のように見えました。
こういう場面をどうやって正面から、捉えたんだろうかといろいろ想像しましたが、空爆の現状を知らせるためあえて撮影させたものかもしれませんね。
画面の中の人たちの想いが、率直に出てて正面からぶつかってくる感じです。

AT THE DANDORA DUMP 
ケニア、ナイロビにあるアフリカ最大のゴミの集積地ということで、ここではゴミを漁って生活せざるを得ない人が集まってきて、健康被害のリスクを抱えながら生活しています。
写真の女性は、ゴミを漁る生活をしながら、唯一の楽しみはゴミの中から見つけた本を読むことだそうです。
本を読む楽しげな顔と、背景や衣装の対比に眼が離せなくなりました。
ゴミを漁る生活をせざる得ない環境と、読書する楽しみ・・・生きること・生活について考えさせられます。

JOY AT THE END OF THE RUN
スマトラでの牛祭り?の写真です。
二頭の牛のシッポを素手でつかんで、裸足で泥場の中を牛を走らせて、距離を競うとか。
力強さに満ちたエネルギッシュな写真です。

PEOPLE OF MERCY 
セリフが印象的でした。
「2年前に右目の視力を失い。左目も半分ほど見えない。自分は前向きな人間だが、失明して仕事が出来るか・・・生きるために闘っている」

MIGRANT SEX WORKERS
海を越えて、ナイジェリアからイタリアで売春婦として生活する女性が大勢いるとのこと。
イタリアというと、ローマ・フィレンツェを始めとした世界中から観光客が集まる文化と歴史に満ちた国という印象がありますが、一つ脇へ目線を変えると劣悪な環境で性産業に従事するしかない女性の現実が同居していることに驚きます。

これ以外の写真にも、心を動かされるモノがたくさんあるのですが、まだ、見ていない方はぜひ自分の目で展示を確かめて欲しいです。
写真は、その場の一場面を切り取ったもので、もっと全体を見渡せる肉眼で見た場合では、実際の印象は全く違うはずですが、撮影者の伝えたかったモノが何だったのか。
何を伝えようとしているのか?それを解釈するのは、見る人それぞれで色々な想いを抱くと思います。
人は同じモノを見ても、同じように解釈することもないし、似た感想を抱いても、そこへ至る経路や自分への取り込み方は、全く違います。
絵画と違って、印象がダイレクトに伝わってくる分、写真は見る側に、強い心の動きを与えてくれます。
その分、見た人それぞれで写真の感想から、抱いた想いなど、いろいろ話す機会になると良いですね。

世界報道写真展2012は、当然でしょうが東日本大震災に関するものが多く展示されていました。
エジプトのムバラク政権崩壊に関するものや、リビア内戦も大きな出来事でしたね。
こうみると、最近は本当にあっという間に1年が過ぎていきますが、毎年毎年、必ず大きな出来事があって、世界に変化が起きていること。
今までも、これからも目にする機会のない”世界”を見られるのは、貴重な機会だなと感じます。
ホンの1年の間に、どれだけの変化があり、また、その変化が自分から抜け落ちていっているか・・・ある意味、大きなショックを受けています。

BATLLE FOR LIBYA
カダフィ大佐の亡骸をそのまま、見ることになったのは驚きでした。

TOKU KONNO
東日本大震災を生き延びた女性の写真は、眼差しといいの深みといい返しようのない言葉に満ちていました。

INFINITY CAVE
中には、洞くつ探検といったネイチャー系のものもあり、本当にプロの写真家はどこにでも行くんだなと、バイタリティに驚きます。